軍馬
戦場における馬の使用のうち、記録に残された最古のものは紀元前19世紀、チャリオットとしてのものである。 騎馬として用いられた最初の例は、ユーラシア遊牧民、特にパルティア人馬弓兵によるものだったと考えられている。
鞍の発明はかなり早くになされていたが、軍馬史上最も重要な発明はおそらく鐙であろう。鐙は7世紀ころ登場し、モンゴル人などの遊牧民族に対して決定的な軍事的優位性を与えた。8世紀、北アフリカ及びイベリア半島を征服したムスリムの戦士たちや、その巧みな馬術でアメリカ陸軍を苦しめたコマンチ族やシャイアン族といったグレートプレーンズのインディアンは軽騎兵がもつ能力の高さを実証した好例である。
中世において、重い鎧をまとった騎士を戦地に乗せていく強さとスタミナを備えた大型の馬は、人々から高い賞賛を受けた。デストリア種などとして知られるこれらの馬は、サイズだけでなく脚の速さや調教のしやすさも重要なポイントであった。軍馬に対しては維持・訓練・装備などに多大な費用と手間がかかり、気軽に保有するというわけにはいかなかった。ベルジアン、ペルシュロン、シャイアといった現代の輓用馬は、昔騎士を乗せていた大型馬の子孫である。
中世後期から近世初期にかけて、マスケット銃といった軽火器が発達を遂げた。これにともない、敏捷な軍馬に乗った騎兵は戦闘・伝令の両面において活躍した。
16世紀、コンキスタドールたちにとって馬は特に有用だった。スペイン人がアステカやインカ帝国を征服した際、馬と銃は絶大な力を発揮した。南アメリカ大陸においては約1万年前に馬が絶滅していたため、アメリカ先住民族たちはヨーロッパ人達にすぐには対応できなかったのである。
第一次世界大戦では各国が騎兵を用いていたが機関銃の発達による塹壕戦の展開により軍馬は最前線での価値を失い、主に輸送用として使われるようになっていく。背景には、馬に鎧を着せてもライフル弾を防ぐことはできず、背の高い馬は的になりやすく被弾すると容易に戦力的価値を喪失するという理由があった。

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